STORY
アイヌは、カムイ(神)の世界とアイヌの世界、ふたつの世界があると信じています。
動物や植物、自然現象、この世のあらゆるものに魂が宿ると考え、
すべてがカムイたる存在として、ともに生きる家族として、お互いを尊重してきました。
カムイの中でも、エゾオオカミは別格。
狩りがうまく、アイヌにとって憧れの存在だったエゾオオカミは、
「狩りをする神」ホロケウカムイと呼ばれています。
しかし、1879年の大雪による影響で、エゾオオカミの食料であったエゾシカが激減。
やむなく、本州から渡ってきた開拓者たちの家畜を襲い、邪魔者にされ、
ばら撒かれた毒入りの鹿肉を口に。1882年ころには、ハンターへの高額な報奨金制度
も手伝い、6、7年で2,000頭から3,000頭が駆除・毒殺され、エゾオオカミは絶滅に
追い込まれました。
カムイは、怒りや過ちを夢で知らせるといいます。
失われたカムイたちは、何を想い、何を語るのか。
役割なく天から下ろされたものは何ひとつありません。