口承文学
アイヌ民族には、長い年月を経て独自に育んできた文学があります。
近代に入る前までは、文字に頼ることなく、人から人へ口伝えで厖大な物語を語り継いできました。このように口頭で伝承されてきた文学を、口承文学あるいは口承文芸と呼びます。
昔話や神話、歌謡、なぞなぞ、呪文、神への祈りの言葉、挨拶の口上なども、広い意味では口承文学に含まれます。
物語
アイヌの物語は、大きくわけて次の3つに分類されます。
超人の少年英雄が大活躍する物語(ユーカラまたはサコロベ)、クマやキツネなどの自然界の神様たちが主人公の物語、主に人間達が自らの体験を語ることによってアイヌ社会のできごとを伝え倫理を教える物語。
少年英雄の物語や神様の物語は、独特のメロディーに乗せて語られます。
このような物語には、神々と人間との関係性を基本とする世界観、自然の中で生きていく知恵、アイヌ社会でのルールなどが豊富に盛り込まれています。アイヌの人びとは、物語を聞くことによって文化や伝統などを学び、継承してきたのです。
ユーカラ劇
阿寒湖アイヌコタンでは、アイヌの物語世界に対する理解を深めていただくため、本来は口承文学として受け継がれてきた少年英雄の冒険物語を演劇化し、「ユーカラ劇」として上演しています。